億年の石が、 暮らしにある。
何億年も前から、この星にある御影石。
岐阜、大垣。143年、石に向き合ってきた。
あなたの暮らしと、いつまでも。
mikage craft
1883 — 現在

石を切る、初代・高木安吉。
岐阜県大垣市赤坂町は、石の町。石灰を産する山が連なり、大理石も採れた。
明治16年(1883年)、初代・高木安吉が石安を興す。石灰は製鉄の原料となり、焼けば消石灰となって、運動場の白い線を引いた。国会議事堂に使われた大理石も、この土地の石だ。屋号の「安」は安吉から、「石」は石屋から。
この土地で、墓石をつくりはじめた。

代ごとに、磨かれた目。
大理石は雨水に弱く、長い年月のうちに溶けていく。墓石として使い続けることはできない。そう判断し、御影石へ切り替えた。
建築ブームの時代、多くの石屋が建築資材へ移っていった。石安は、墓石を続けることを選んだ。今日まで、石を切りつづけている。

mikage craftの誕生。
墓の数が、減っている。
五代目・高木大輔は十年ほど前から、ひとつの問いを抱えてきた。御影石は墓の石とされる。けれど、磨けば驚くほど光る。これを、墓のほかにも使えないか。
きっかけは、夏場の工場だった。熱を持った御影石を見て、料理に使えないかと考えた。電子レンジで試すと、黒い石は熱くなり、白い石はほとんど温まらない。鉄分の含有量の差だった。
その発見が、石の皿になった。2021年、mikage craftが動きはじめた。石安の、新しい挑戦だ。
高木大輔
大手メーカーで研究職についていました。平日は名古屋で働きながら、土日は岐阜に帰って石を研いでいました。
祖父はお金を惜しまない人で、スーパーで売れ残りそうな野菜があると百個まとめて買い、近所に配っていました。お寺ではいつもたっぷりと包んで、「お金は天下の回りものだ」と言って笑っていました。僕も、もらうより渡す人でいたい、と思っています。
祖父が亡くなった年に、会社を辞めました。岐阜に戻り、石安の五代目になりました。

ずっと残る。
御影石の何が好きかと聞かれたら、ずっと残るところ、と答えます。
太陽が当たっても、雨が降っても、形を保つ。
社長になって最初に工場へ置いた石があります。庵治石。
日本産の、硬い石です。表面に模様が浮かぶ。
よく見ると、奥からも模様が出てくる。二重の「影模様」。
日本の御影石のなかで、最も硬い部類に入ります。
それを、最初に選びました。
石は、人みたいなものだと思う。磨けば光る。手をかければ、育つ。
御影石は、世界に三百種を超えます。
最初に見るのは、強度です。水を吸う石は、変色する。
内部に空隙があれば水が入り、凍れば割れます。
強い石を選び、次に色を見ます。
黒にはインド産。ピンクは、中国でしか採れません。白は、日本の石を使いたい。
職人と工房
石は、しゃべらない。こちらから、歩み寄る。
末松 和幸 ── 工場長 / 石職人歴 39年

割る
石の目を読む。どこから槌を入れるか、どこに力をかけるか。それを見極めて、最初の一撃を加える。割れるかどうか、なんとなくわかる。スカッと割れたとき、胸が空く。それが一番好きな瞬間だ。失敗もある。石が強く叩いた方へ逃げて、割れてしまう。だから最初は軽く、少しずつ調整しながら入っていく。

磨く
黒い石は硬い。艶が出にくく、切る刃が逃げる。赤石も同じだ。加工しやすい石は粗い。粗ければ欠けるリスクが高い。どの石にも、それぞれの難しさがある。石の選び方と、磨き方。両方が揃って、一枚になる。mikage craftになってから、寸法の精度が細かくなった。並べた時に、ピシッと揃っていてほしい。その気持ちがあるから、気をつけてやるようになった。

仕上げる
「本当にやることはないなと思ってたもんですから。」手で磨く作業は、衰退する技術だと思っていた。それが今、また求められている。「出来上がった時はやっぱり嬉しい。」








僕の代でしまいでは、ない。
石安に来て、13年になります。
この手加工は、いつか使わなくなると思っていた。
衰退していく作業だと思っていた。
でも、高木社長がやりたいと言ってくれた。
自分のできることをやらせてもらえる。それが、嬉しかった。
石の生活雑貨は昔にもあった。
重い、冷たい、というイメージで、自然に消えていった。
それをもう一度やっていく。できるかどうか、知りながら、やっている。
石を割るとき、ゆっくり叩きます。
強く叩くと、石は弱い方へ逃げる。
少しずつ調整しながら、進める。
石は、しゃべらない。だから、こちらから歩み寄る。
技術者は、確実に減っていく。
でも、ある一定のところから需要は残ると思っています。
その時に飛び出してくれる人がいれば、強い。
僕の代でしまいではなくて、誰かできる人があれば伝えたい。
それもまた、mikage craftで叶えたいことのひとつ。